一万円札福沢諭吉の著書『福沢諭吉が見た150年前の世界~『西洋旅案内』初の現代語訳~』の『ロシアで働いてスパイになる?』の章によると、福沢諭吉がロシアに訪問した時にロシアの接待員からロシアで働くよう3回も勧誘されたとのことです。
ロシアの接待員から個人的に呼び出され、このように言われたそうです。
「我々は日本のことは詳しくわからないが、日本は小国である。男は小国にいても大した仕事ができるわけはない。心を変えてこの国にとどまらないか」と言う。
福沢諭吉が見た150年前の世界 『西洋旅案内』初の現代語訳
おそロシア笑
福沢諭吉はこのように答えます。
私が「私は使節の一員として来ているので、自分勝手にとどまれるものではない」と答えると彼は「いやそれは簡単な話だ。お前さえ決断して今から隠れる気になれば、すぐに私が隠してやる。どうせ使節は長くここにはおらず、間もなく帰る。帰ればそれっきりだ。そしてお前はロシア人になってしまいなさい。このロシアには外国の人はいくらでも来ている。特にドイツの人は非常に多い。そのほかにオランダの人もいればイギリス人も来ている。だから日本人が来ていたからといって何も珍しいことではない」「ぜひここにとどまれ。とどまることになれば、どんな仕事でもしようと思えば面白い愉快な仕事はたくさんある。衣食住の安心はもちろん、ずいぶん金持ちになることもできるからとどまれ」と丁寧に説明する。決して悪ふざけで言っているのではない。ちゃんと一室に差し向いでまじめに話し合ったのである。
福沢諭吉が見た150年前の世界 『西洋旅案内』初の現代語訳
150年前に来た日本人にこれだけ言ってるくらいだから、今なんて優秀な人を見つけたらロシアに引き入れようとしてガンガン声をかけてるでしょうね…汗
ロシアという国は、欧米の中でも一種違った国に違いない。
福沢諭吉が見た150年前の世界 『西洋旅案内』初の現代語訳
アメリカ、イギリス、フランスにも訪問していた福沢諭吉ですが、国にとどまれなんて言ってくる国はロシアだけだったようです。
福沢諭吉は日本帰国後も日本の教育に大きく貢献されていますが、万が一大金に目がくらんでロシア側についてしまっていたら…と思うとゾッとしますね。
(まぁ福沢諭吉は、お金だけで動く人ではないので助かりましたが)
政治上、外交上の意図があるに違いない。言葉に意味を含ませてとどまれと言うところを見れば、何か陰険の手段を施すためじゃないかと思ったこともあった。
とにかく気心の知れない国だと思われる。
福沢諭吉が見た150年前の世界 『西洋旅案内』初の現代語訳
150年後の今日までのロシアの歴史を見ると、さすが福沢諭吉先生は先見の明があるなぁと思いました。