書評

【要約・書評】バカと無知 人間、この不都合な生き物|橘玲 ☆4

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  • 綺麗事抜きで、残酷でもいいから世の中の真実を知りたい
  • きちんとエビデンス(客観的事実)のある真実が知りたい
  • 橘玲氏の本が好き

本書はそんな人におすすめです。

『バカと無知 人間、この不都合な生き物』を読むきっかけ

“残酷な真実”という言葉に目が止まり、読んでみることにしました。

著者の心理学や社会学の知見をもとに書かれています。

主張の後には必ず論文引用や実験結果など客観的事実が記載されているので、非常に説得力があり面白いです。

残酷だろうが真実を知らないと何事も正しい判断ができないと考える現実主義者なので、橘玲さんの本は残酷な現実を突きつけられるので人を選ぶと思います。

個人的にはこういうの大好きです笑

『バカと無知 人間、この不都合な生き物の著者 橘玲氏はどんな人?

出典 https://newspicks.com/news/5305024/body/

日本の男性作家。本名は非公開。

早稲田大学第一文学部卒業。元・宝島社の編集者で雑誌『宝島30』2代目編集長。日本経済新聞で連載を持っていた。海外投資を楽しむ会創設メンバーの一人。2006年『永遠の旅行者』が第19回山本周五郎賞候補となる。デビュー作は経済小説の『マネーロンダリング』。投資や経済に関するフィクション・ノンフィクションの両方を手がける。2010年以降は社会批評や人生論の著作も執筆している。

引用 wiki

橘玲氏の主な著書

 

など多数。

『バカと無知 人間、この不都合な生き物』の目次

PARTⅠ 正義は最大の娯楽である

1なんでみんなこんなに怒っているのか/2自分より優れた者は「損失」、劣った者は「報酬」
3なぜ世界は公正でなければならないのか/4キャンセルカルチャーという快感

 

PARTⅡ バカと無知

5バカは自分がバカであることに気づいていない/6「知らないことを知らない」という二重の呪い
7民主的な社会がうまくいかない不穏な理由/8バカに引きずられるのを避けるには?
9バカと利口が熟議するという悲劇/10過剰敬語「よろしかったでしょうか?」の秘密
11日本人の3人に1人は日本語が読めない/12投票率は低ければ低いほどいい
13バカでも賢くなれるエンハンスメント2・0の到来

 

PARTⅢ やっかいな自尊心

14皇族は「上級国民」/15「子どもは純真」はほんとうか?
16いつも相手より有利でいたい/17非モテ男と高学歴女が対立する理由
18ほめて伸ばそうとすると落第する/19美男・美女は幸福じゃない
20自尊心が打ち砕かれたとき/21日本人の潜在的自尊心は高かった
22自尊心は「勘違い力」/23善意の名を借りたマウンティング
24進化論的なフェミニズム

 

PARTⅣ 「差別と偏見」の迷宮

25無意識の差別を計測する/26誰もが偏見をもっている/27差別はなぜあるか?
28「偏見」のなかには正しいものもある?/29「ピグマリオン効果」は存在しない?
30強く願うと夢はかなわなくなる/31ベンツに乗ると一時停止しなくなるのはなぜ?
32「信頼」の裏に刻印された「服従」の文字/33道徳の「貯金」ができると差別的になる
34「偏見をもつな」という教育が偏見を強める/35共同体のあたたかさは排除から生まれる
36愛は世界を救わない

 

PARTⅤ すべての記憶は「偽物」である

37トラウマ治療が生み出した冤罪の山/38アメリカが妄想にとりつかれる理由
39トラウマとPTSDのやっかいな関係/40「トラウマから解放された私」とは?

 

付論1 PTSDをめぐる短い歴史

付論2 トラウマは原因なのか、それとも結果なのか?

『バカと無知の内容紹介

橘玲氏らしい、いつもの残酷な真実とエビデンスが並べ立てられていました。

何十ヶ所もマーカー線を引くぐらい面白かったのですが、特に印象に残ったところをご紹介します。

ひとは幸福になるようにデザインされているわけではない

ひとは幸福になるために生きているけれど、幸福になるようにデザインされているわけではない。

いきなり残酷な真実を突きつけてくる、橘玲氏らしい言葉です笑

これは何となくわかる気がします。

まぁ事実だとしても、ひとは幸福になるために生きているけれど幸福になるようにデザインされているわけではないということを分かった上で生きてた方が何も考えずに生きているよりはよほどいいかと思います。

 

遺伝に関する残酷な真実

さまざまな研究を総合して推計された総合失調症の遺伝率は双極性障害(躁鬱病)と並んできわめて高く、80%を超えている(統合失調症が82%、双極性障害が83%)。遺伝率80%と言うのは「8割の子供が病気にかかる」ということではないが、身長の遺伝率が66%、体重の遺伝率が74%であることを考えれば、どのような数字かある程度イメージできるだろう。背の高い親から長身の子どもが生まれるよりずっと高い確率で、 親が統合失調症なら子供も同じ病気を発症するのだ。

親が総合失調症なら子供への遺伝率は80%を超えるだなんて、想像以上に総合失調症は遺伝するんだなぁと思いました。

ほとんど遺伝で決まることを知ってるだけでも、『甘えてるだけだ』なんて先入観を持たずにすみますね。

 

ひとが自分より優れた他人の足を引っぱるのは本能

噂話の目的は、自分より上位のものを引きずり下ろすと同時に、下位のものを蔑んで自分をより目立たせることだ。「私はそんな卑しい事はしない」という良識ある人もいるだろうが、それは単なる演技かもしれない。

脳にとって上方比較は損失なのだから、その不快感から逃れるには、自分より優れたものを蹴落とせばいい。これはけっして褒められた話ではないが、そこに「正義」を紛れ込ませると自分の行為を正当化できる。

祖先はこうやって生き延びて子孫を残してきた

「私はそんな卑しい事はしない」とは私も思ってはいますが、多分無意識にやってしまうこともあっただろうなと思いました。

自分が正義側にあると思っていると人に攻撃してもいいと思ってるひとは今までの人生でも心当たりありますし、ツイッター(X)なんか見てると毎日見ますね…。

 

徹底的に社会的な動物である人間は、不正を行なったと(主観的に)感じる相手に制裁を加えると脳の報酬系が刺激され、快感を得るように進化の過程で「設計」されている。それに加えて、下方比較を報酬、上方比較を損失と感じるから、自分より上の地位にあるものを引きずり下ろすことにはとてつもなく大きな快感がある。

この快感は、テクノロジーのちからによって、匿名のまま(なんのリスクも負わず)、スマホをいじるだけで(なんのコストもかけずに)手に入るようになった。これほど魅力的で安価な「娯楽」はほかにないからこそ、多くのひとが夢中になるのだ(オバマ元大統領は、こうした理由でキャンセルカルチャーを批判している)。

 

人がステータスを誇示する方法には、「支配(権力)」「成功(社会、経済的地位)」「美徳(道徳)」の3つがある。このうち権力の獲得は誰でもできることではないし、成功のステータスには資産(豪邸やスーパーカー)や評判(SNSのフォロワー数)などの証拠(エビデンス) が必要だ。それに対して道徳的な声出すの獲得は、「悪」を叩けばいいだけなのだから、誰でも(匿名でも)可能なのだ。

匿名で陰口を言ったり誰かを攻撃することほどダサいことはないと思うし、自分はそうじゃないと思いたい。

でも私たちの祖先はこうやって生き延びて子孫を残してきたのだから、ひとはこういうものだと知っておくのは大事ですね。

こういう人間の本能的なものが分かってない、暇で頭の悪い人こそこういうことをやりがちな気がします。

 

バカは自分がバカであることに気づいていない

「バカの問題は、自分がバカであることに気づいていないことだ」

自分の能力についての客観的な事実を提示されても、バカはその事実を正しく理解できないので(なぜなら馬鹿だから)自分の評価を修正しないばかりか、ますます自分の能力に自信をもつようになる。まさに「バカにつける薬はない」のだ。

これは思い当たる節がありすぎます笑

えっ…って人ほど謎に自信満々だったりしますから…。

 

創業者のワンマン経営で会社が急成長するのは「バカに引きずられる」効果を避けられるから?

創業者のワンマン経営で会社が急成長するのは、日本だけでなく、アップルやアマゾン、テスラを見てもわかるように世界的な現象だ。だとすればこれは、文化のちがいではなく、人の本性だと考えるほかはない。ワンマン企業が成功する(可能性がある)のは、「独裁者」の意思決定によって「バカに引きずられる」効果を避けられるからなのかもしれない。

これは理屈で言ったらその通りだろうなと思う。

優秀な経営者なら、バカの意見に振り回されずに自分の考えを通した方が良い結果が出るでしょうからね。

 

話し合いのときに、一部のメンバーの自尊心を脅かすと、決定の質が大きく下がることだ。なぜならそのメンバーは、傷ついた自尊心を回復するためになりふり構わなくなるから。

それ以上に問題なのは、一見、自信たっぷりに振る舞っていても、内心は強い不安を抱えている者が会議の場にいることだ。このタイプはつねに自尊心を高めなくてはならないので、話し合いの最中に頻繁に「マウンティング(優位性の誇示)」を行なう。なぜなら、自分より劣ったものがいることを確認すると自尊心が上昇するから。

 

日本人も世界と比べたら賢いだけで、大半のひとは頭がいいわけではない

日本人の3人に1人は日本語が読めない

①日本人のおよそ3分の1は「日本語」が読めない。

②日本人の3分の1以上が小学校3〜4年生以下の数的思考力しかない。

③パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかいない。

日本人の3人に1人は日本語が読めないというのは一瞬??となったけど、ツイッター見てると文脈を読めずにリプしたりトンチンカンな引用したりしてる人をよく見かけるのでそうなんだろうと思う。

③はかなりの人が当てはまるんじゃないかと。

恥ずかしながら私は③どころか、②すら怪しいです笑

『バカと無知 人間、この不都合な生き物』まとめ

紹介した本書の内容はほんの一部で、橘玲氏らしいいつもの残酷な真実がエビデンス付きで並べ立てられています。

人を選びますが、きれいごとより残酷な現実を知りたい方はぜひ面白いので読んでみてください^^

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